【書評】『「絵」で子どもの心がわかる本』の内容・感想・レビュー

読書

渡部英夫著、『「絵」で子どもの心がわかる本 描かれたシンボル・構図・色彩の秘密』PHP研究所 (2015/3/12)を読みました。

その内容と感想です。


「絵」で子どもの心がわかる本 描かれたシンボル・構図・色彩の秘密

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目次と著者について

STEP1 子どもの心と絵
STEP2 子どもの心はこうして絵にあらわれる
STEP3 子どもの絵を見る時のポイント(まとめ)
STEP4 お絵かきにはこんな効果もある

著者紹介 渡部英夫(わたなべひでお)

茶道石州流家元の母と、釧路工業高校教師の父の三男として釧路に生まれる。映画監督・木村寛氏に師事し、短編映画制作に従事する。米国に7年間滞在し、グローサリー経営。現在、「親子のびのび絵画教室」「大人のためのお絵かき教室」、ACF研究所のカウンセリング、通信教育、講演、社員研修などで活躍している。

感想

絵を描くことは心を表現すること。逆に絵を見ることで心がわかるという著者。子どもの心を表現させるためには、絵のテーマを設定せず、表現方法を指導することも不要だそうです。

この本では浅利式児童画診断法に則って子どもたちの絵の解説をしています。この診断法は、自由に描かれた絵というのが前提で何を描くのか、何を使ってどんな色で描くのかなどを大人が指示しないことが大切です。

1.色彩の自由
2.形の自由
3.題材の自由
4.材料、用具、技法の自由
5.指導と干渉からの自由

こうして描かれた絵を「シンボル」「構図」「色彩」の3つの観点で分析すると子どもの心がわかるという手法です。それぞれについて実際に幼児(年少)から高校生までの子どもが描いた絵を57枚掲載して説明してあります。

例を挙げると、丸い山が2つ褐色で描かれ、その向こう側から太陽がのぞいている絵。
→山は母親、太陽は父親のシンボル。夫婦は和合しているが、山の色が褐色なので母親に甘えたい思いがある。

真ん中に蝶、左右に白いチューリップが描かれた小4男子の絵。
→蝶の羽の形が鼻腔になっていて蓄膿症。左右のチューリップは耳を表し実際に聞こえづらい。

なるほどな、と思うものもあれば、そこまでこの絵から読み取れるのだろうかと疑問に思うものもありました。

絵の中にギザギザ模様やバッテンマークがあるときは心にストレスがかかっている可能性があったり、紫色を使っているときは、ケガや病気で体調が悪いのかもしれないと想像することもできます。色の組み合わせから読み取れることも多く、こういった観点で絵を見るのも面白そうです。

絵の発達が子どもの心の発達度合いを表すという本もありますが、絵から子どもの心の状態を読み取る具体的な手法を知りたい方にオススメです。

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